Adventure of Kohsuke Kindaichi
豆瓣
简介
1曲目から10曲目までが、このアルバムのために書き下ろされた曲で、すべてインストゥルメンタルだ。羽田健太郎の楽曲が一番多く、6曲目から10曲目までを担当している。11曲目からがボーナストラックで、茶木みやこが歌う「横溝正史シリーズ」の主題歌が最も注目されているのだが、金子由香利の「愛のバラード」(大野雄二の曲に歌が付いているもの)や塚田三喜夫「愛の女王蜂」など、70年代に発売されたレアな歌が収録されていることも見逃せない。
このアルバム、羽田健太郎の曲が好きだという評をよくみかけるが、俺が選ぶにベストな楽曲はズバリ成田由多可の「八つ墓村」だと思う。ファンキーでムチャクチャ格好いい。ブレイクの後のドラム(森谷順)のスネア&ハイハットの切れなんかもう最高。曲はファンキーなんだけど、女性スキャット(伊集加代子)や筑前琵琶(平山万佐子)がうまくコラボされていて、曲構成もおもしろい。
大林宣彦監督のパロディ映画『金田一耕助の冒険』で、「八つ墓村」を思わせるシーンでもBGMとして使用されていた。同じく成田由多可の「獄門島」もなかなか。
オープニングの高田 弘「金田一耕助のテーマ」もカッチョいい。いかにも探偵モノって感じのファンキーな曲で、ギター(水谷公生、金成良悟)のリフと女性コーラス(コーポレーションスリー)が気持ちよく、優れモノだと思う。「仮面舞踏会」は70年代ディスコサウンドって感じで、聴いていて思わず足が動いてしまう。「本陣殺人事件」も名曲だ。
高田弘や成田由多可の曲に比べてハネケンこと羽田健太郎の曲はぶっちゃけイマイチだと思う。高田や成田がアルバムのコンセプトに従って原作のイメージを見事に音楽化しているのに対し、ハネケンは単に自分がやりたいことをやっているって感じが否めない。特に「悪魔の手毬唄」について、なんでこれが「悪魔の手毬唄」なの???と首を傾げざるおえず、不満タラタラ。実際ハネケンはこのアルバムの曲を自分がBGMを担当した他のアニメなどで流用していたとのこと。(「スペースコブラ」など)
まぁ、ハネケン担当の楽曲が多かったから仕方なかったんだろうけれど、「悪魔の手毬唄」とか「悪魔が来たりて笛を吹く」とか、原作で音楽が重要な役割を果たしている作品については、正直ハネケンではなくて高田弘か成田由多可のどちらかに曲を担当してもらいたかった。
ハネケンをフォローしておくと、曲自体の質が低いわけではなく、横溝正史の世界とは別モノとして、単にハネケンファンが聴く分にはいいかもしれない。中でも聴き応えありなのは「犬神家の一族」。ピアノコンチェルトで、大野雄二の「愛のバラード」に対抗すべく美しい仕上がりだ。「悪魔の手毬唄」も横溝正史の「悪魔の手毬唄」とは無関係ですって言ってくれれば、ハネケン節満載のカッコイイ曲だと思う。
ついでにフォローしておくと、テレビアニメ「超時空要塞マクロス」でのハネケンの音楽は最高に素晴らしかったと思う。アバレンジャーもハネケン担当だが、まぁ、そこそこいい線をいっている(フォローになってないか(笑))。
これらオリジナル楽曲の演奏は”ミステリー金田一バンド”とクレジットされているが、参加メンバーがおもしろい。キーボードはすべてハネケン担当。E・ギターは浜田省吾の曲を80年代前半までアレンジしていた水谷公生が主に担当。ベースは武部秀明など、和洋さまざまな楽器の参加とあいまって、クレジットにもさまざまな名前が並ぶ。音楽アルバムとしてなかなか貴重なアルバムだと思う。
ボーナストラックの歌モノであるが、目玉である茶木みやこ「まぼろしの人」については以前書いたため割愛するが、同じ茶木みやこの「あざみの如く棘あれば」と「あなたは何を」もなかなかいいと思う(阿久悠いまいちって前に書いたけれど)。
※「あざみの如く棘あれば」について、阿久悠本人の文章↓
阿久悠「あんでぱんだん」あまり売れなかったが なぜか愛しい歌48
茶木みやこ以外に注目すべきは、金子由香利の「仮面」と塚田三喜夫の「愛の女王蜂」だろう。
金子由香利は収録されている「愛のバラード」でも歌を歌っているが、「愛のバラード」はインストゥルメンタルのほうがいいと思う。「仮面」については金子由香利の持ち味がよく出ており、歌の途中で詩の朗読が入るなど、なかなか味わい深い。映画で使用されたインストゥルメンタル版の「仮面」は「犬神家の一族」のサントラに収録されているが、金子由香利の歌あり版と比較して聴いてみると面白いかも。
塚田三喜夫の「愛の女王蜂」だが、昭和53年のカネボウのCM「口紅にミステリー」で使用された曲で(このCM、記憶にあります)、アレンジが超ゴージャズ。ハープの使い方など、聴くたびに感嘆させられる。編曲は若草恵。日本を代表する編曲家だが、この曲のアレンジも凄い。作曲は三木たかしとこれまた大御所だが、曲自体もダイナミックな展開を持ち、塚田三喜夫のボーカルもなかなかの実力で、これで詞がもっとふさわしい詞で、曲のタイトルが「愛の女王蜂」でなければ、日本歌謡史に残る傑作となりえたかもしれない。塚田三喜夫も今ごろは大御所の仲間入りを果たしていたことだろう。
いくら映画のキャンペーンの曲だからといってタイトルが「愛の女王蜂」はないと思う。もともとの曲名は「ミステリアス・クイーン」だったとのことで、名曲だけに、タイトルを変えた人のセンスのなさが悔やまれる。
●塚田三喜夫 公式サイト
●女王蜂のくちびる(ぐれたさんブログリンク。カネボウのCMソングについて書かれている。)
<自ブログ>
●関連記事一覧:金田一耕助についてうんちく 映画&音楽
tracks
1. 金田一耕助のテーマ (作・編曲 高田 弘)
2. 八つ墓村 (作・編曲 成田由多可)
3. 仮面舞踏会 (作・編曲 高田 弘)
4. 本陣殺人事件 (作・編曲 高田 弘)
5. 獄門島 (作・編曲 成田由多可)
6. 悪魔の手毬唄 (作・編曲 羽田健太郎)
7. 迷路荘の惨劇 (作・編曲 羽田健太郎)
8. 悪魔が来りて笛を吹く (作・編曲 羽田健太郎)
9. 三つ首塔 (作・編曲 羽田健太郎)
10. 犬神家の一族 (作・編曲 羽田健太郎)
11. 愛のバラード(唄 金子由香利/「犬神家の一族」より)
12. 仮面(唄 金子由香利/「犬神家の一族」より)
13. 愛の女王蜂(唄 塚田三喜夫/「女王蜂」より)
14. 少女夜曲(唄 塚田三喜夫)
15. まぼろしの人(唄 茶木みやこ/MBS「横溝正史シリーズ」主題歌)
16. あざみの如く棘あれば(唄 茶木みやこ/MBS「横溝正史シリーズ2」主題歌)
17. あなたは何を(唄 茶木みやこ/MBS「横溝正史シリーズ2」挿入歌)
18. 糸電話(唄 古谷一行/TBS「金田一耕助シリーズ」主題歌)
19. 見えない雨の降る街を(唄 古谷一行/TBS「金田一耕耕助シリーズ」主題歌)