名詞複数形の意味
日仏対照言語学の観点から
バティスト・プヨ
简介
仏語と日本語の比較において、一部の名詞複数形は数量表現として定義できないことを示す。仏語と日本語における名詞複数形が示す多様な表現価値に着目し、「複数」と「複数形」という言語形式とのかかわりについて考察。
目录
序 論 フランス人の親は常に子供が複数いるのか
第1章 言語学における「複数」概念の定義およびその限界
──「複数形」の「複数」とは何か
1 「1」と「1<」の対立
1.1 複数対象の存在性
1.2 複数対象の具体性
1.3 複数対象の可算性
2 「1」と「2≤」の対立
2.1 複数対象のグループ性
2.2 数量的唯一性を含意しない複数対象
3 名詞複数形の数量的な定義の限界
3.1 数量的唯一性の不在
3.2 名詞複数形の指示対象の可算性再考
第2章 フランス語の不定名詞句複数形における「複数」概念
──日本語の畳語複数形との比較から
1 数量的な考え方の限界
1.1 意味クラスを指示する不定名詞句複数形
1.2 語彙論的制約の存在
2 日本語の畳語複数形
2.1 不可算複数形
2.2 意味の特定化の有無
2.3 質的複数化
2.4 意味の類像性
3 日仏対照研究の観点からの再検討
3.1 認知意味論的分析
3.2 分類上のカテゴリーを示す名詞複数形
第3章 フランス語の不可算名詞複数形における「複数」概念
──日本語の畳語複数形の再検討
1 言語学者による不可算名詞の複数形の定義
1.1 語彙的複数形と文法的複数形の区別
1.2 単数形と複数形の使い分け
1.3 文法的複数形に関する先行研究
1.3.1 巨大さ,圧倒的なイメージという観点
1.3.2 日常的経験という観点
2 言語学的分析の試み
2.1 不可算名詞の指示対象の空間的位置づけ
2.2 指示の限定
2.3 質的複数化
2.4 述語との関連性
3 畳語複数形との比較
3.1 意味の特定化
3.2 個別性の位置づけをめぐるフランス語と日本語の差異
第4章 日本語の接尾辞「─たち」が表す「複数」の意味
──フランス語の総称名詞複数形との比較
1 日本語学における可算と不可算の区別
1.1 「日本語名詞は種名詞である」という観点およびその限界
1.2 指示対象の定性に関する制約
1.3 日本語における複数性と可算性の非同等性
2 「─たち」の使用による具体例の複数化
2.1 叙述レベルでの制約
2.2 指示対象の定位を前提とする複数化
2.3 具体例のグループ
3 フランス語の総称名詞複数形の表す具体性
3.1 総称定名詞句の単数形と複数形の使い分け
3.2 例外を許す総称定名詞句複数形
3.3 総称定名詞句単数形が表す抽象的総称性
3.4 総称定名詞句複数形が表す事例的総称性
第5章 存在否定文の主語名詞句複数形が表す「複数」の意味
──フランス語では「幽霊」は存在しないのに,日本語では存在するのはなぜか
1 言語学における非存在
1.1 非存在についての言語学的観点からの考察
1.2 非存在に対する指示的観点からの考察
2 定名詞句における現実性の再検討
2.1 いわゆる直示的用法の定名詞句における間接指示性
2.2 述語の否定形との共起に関する制約
2.3 いわゆる直示的用法の定名詞句と叙述レベルの関係
3 定名詞句複数形における普遍的一般化
3.1 指示対象の一般化
3.2 不均質な一般化
第6章 フランス語の結びの挨拶の名詞複数形が表す「複数」の意味
1 「結びの挨拶」の特別な振る舞い
1.1 語用論的な振る舞い
1.2 形態論的・統語論的変異形またはバリアントをめぐって
1.3 結びの挨拶の凝結度について
2 biseを用いた結びの挨拶のケーススタディ
2.1 語用論的意味の違い
2.2 叙述レベルでの違い
2.3 数量化の問題
2.4 主体間関係の中立性
2.5 amitiéを用いた結びの挨拶のケース
結 論
参考文献
あとがき
索 引