湖の南

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湖の南

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ISBN: 9784006021924
作者: 富岡多恵子
出版社: 岩波書店
发行时间: 2011 -10
丛书: 岩波現代文庫・文芸
装订: 文庫
页数: 222

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大津事件異聞

富岡多恵子   

简介

津田三蔵巡査がロシア皇太子を襲撃した動機とは何か.本書は,新史料・津田三蔵書簡を読み解き,津田の内面を描きつつ,大津事件(1891年)の謎に迫る異色作.司法権独立との関係で言及されてきた明治期の大事件が,新たな視点から描き出される.文学と歴史とを架橋する著者の野心的な試みは,意外な結末で幕を閉じる.(解説=成田龍一)
■編集部からのメッセージ
本書は大津事件に新たな光を当て,120年前のこの事件を現代の読者に届けようとする話題作です.大津事件(湖南事件)は,1891年にロシア皇太子ニコラスが滋賀県大津で警備の巡査・津田三蔵に頭部をきりつけられた事件として知られています.事態の重大さを鑑み,政府は津田を極刑に処するように圧力を加えました.その判断の根拠となるのは,刑法一一六条によってわが国の皇族に対する犯罪と同様に扱えば当然死刑に処すべきだという主張でした.だが,大審院長・児島惟謙は(普通謀殺罪の未遂事件として)死刑ではなく無期徒刑を言い渡したので,司法権の独立を守った事件として長らく語り継がれることになったわけです.
従来この事件については,司法権独立を守った英断として関心を持たれることが多かったといえるでしょう.また犯行の動機と理解されてきたのは,予審の尋問で津田が憤りをもって語ったということ,すなわちロシア皇太子の来日目的が日本内地の地勢を視察するためであったので謁見前に各地を遊覧するのは,天皇に対して不敬であるという供述であり,この内容が独り歩きをしていったと思われます.またロシアの膨張主義に対して,津田が危機感を強めていたという説もまことしやかに語られてきました.
しかしながら,著者は「大津市歴史博物館研究紀要」に掲載された津田三蔵書簡を読み解き,津田の内面に迫りながらこの事件の謎を描いていくのです.13歳で明治維新を20歳で西南戦争を体験して巡査になった津田三蔵とはいかなる人物だったのか.病いがちである母を案じ,困った兄に悩まされていた不器用で几帳面でごくまっとうなこの男が,いかにしてロシア皇太子襲撃に追いこまれていくかを愛惜をこめて描いていく作品が本書です.結局,何がロシア皇太子襲撃の真の理由であったかは,ぜひ本書を読み進めていただきたいと思います.
著者は歴史の解釈が常にもっともらしいストーリーを求めることの問題性を,本書の中で問い直しているようでもあります.
物語の後半では,思いがけないエピソードが紹介されますが,それが何を意味しているのかが実に興味深いものがあります.歴史小説として異色の作品ですが,十分に読み応えのある作品です.ぜひご一読いただければ幸いです.(本書は2007年新潮社から刊行されました.今回,「大津事件異聞」をサブタイトルとして新たに加えまし
岩波現代文庫 文芸192

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