泣き虫なまいき石川啄木
豆瓣
简介
残された写真の大人しげな表情の所為なのか、はたまた、貧乏のどん底で不遇のまま早世した史実からなのか、石川啄木の名前には、「薄幸」という形容詞が実に良く似合います。彼が残した多くの歌は、苦難だらけの生活が生み出した哀しさをまとい、その抒情あふれる柔らかなリズムの「三十一文字」には、微かな希望が優しく横たわっているようにも感じられます。そんな「哀しくも優しい響き」は、没後100年が経とうとしている現在に至るまで、私たち日本人の心に寄り添い、支え続けてきたと言っても過言ではないでしょう。
この<薄幸の歌人>という儚げなイメージ・・・。実際は、彼の歌を愛する側の妄想が一人歩きしたもので、その行状は、しばしば周辺の人物たちから率直に語られてきましたし、何よりも本人が残した日記に、実に克明に彼の"ダメさ加減"が記されています。そこには、鼻持ちならぬほどの自信家で、あっけらかんと大嘘をつき、借金を踏み倒すなんて朝メシ前。それでも周囲が手を差し伸べずにはいられない、魅力にあふれた青年の姿が・・・。 そんな啄木の日記を、「現代最高の戯作者・井上ひさし」がじっくりと読み解き、なぜか日記が欠落しているとしか思えない謎の期間への考察も込めて、虚実皮膜の評伝劇に仕上げたのが、1986年初演の本作『泣き虫なまいき石川啄木』なのです。