宋明理学
朱熹の思想体系 豆瓣
作者:
土田 健次郎
出版社:
汲古書院
2019
【「序」より】(抜粋)
本書は、朱熹の思想体系全般の論述を試みたものである。…朱熹の理論構築を検討する時に必要なのは、朱熹が自己の主張の説得力をどこに持たせようとしたかを考えることである。時には論理そのものの力により、時には経書の権威を借り、時には当時の通念に頼る。また朱熹の表現のしかたも問題になる。「Aは即ちB」と書いてあっても、文字通りAとBが合同であるという意味から、Aの一部がB、逆にAの一部がB、という意味まで多様である。ただこれらのことを妥協とのみ見なすのは、我々の驕りである。我々とても時に朱熹以上に理論以外の要素を自己の論述に紛れ込ませているではないか。むしろ考えるべきなのは、自他を納得させるには、我々が雑多な夾雑物と見える要素が必要だったということであり、我々はそのような形を取る思想表現の姿というものを正確に把握しなければならないことである。このような要素をも確実に掬い上げてこそ朱熹の思想研究は充実したものになるはずである。
朱熹の思想体系を描くには、彼の膨大な文献から、学説の柱として重ねて強調されている諸主張を摘出し、それらの相互関係を解明することが有効であろう。わずかの例に固執し、それにはずれる他の多くの論述を無理に否定するような試みに紙数を割くことは徒労である。また片言隻語から「哲学的に」引伸し、朱熹があずかり知らぬ地平にまで行ってしまうのも同様である。更に後に「字義」の類が流布した影響もあろうが、理、気、性、惰、という語に過度にこだわるため、朱熹がそれらを駆使して表現したかった当のものを逃すことも往々にして見受けられる。朱熹はこれらの語を規定するために思想を組み立てたのではなく、これらの語の組み合わせから思想を浮かび上がらせようとしたのであり、それこそを把握しなければならない。朱熹は、性や心は言葉では説明しきれないということを明言することがある。その意味は重い。
また朱熹が駆使する用語は、以前から使用されてきた伝統的なものが中心であるがゆえに、往々にして複数の意味が含み込まれていて、その用語が他のいかなる用語との対比されるかで意味の力点が変化する場合も少なからずある。それゆえ各用語は常にどのような状況で使用されているかを考慮しながらその意味摑まねばならず、具体的作業は本書の随処に行っている。
ともかくも朱熹思想の研究は、資料全体からその骨格を把握し、それで各用例をどこまで説明できるかを検証し、またそこから先に把握した骨格の妥当性を検証するといったフィードバックを繰り返さなければならないのである。
更に朱熹の思想を扱う場合には、一つ大きな問題がある。それはこの思想が聖人を目指して修養する人間にとって意味を持つ思想であることである。たとえば朱熹が湖南学から脱却し一応の定説を四十歳で確立したのは、湖南学の説く已発中心の修養を実修していてその効果に疑問を持ったということが大きかった。もちろんそれに対する理論付けも行っているのだが、実修体験がなくてはその理論の持つ説得力も半減する。このような体得を前提とした思想をどのように扱うのかという問題もつきまとってくる。また後世の朱子学の問題設定は、あくまでもそれがなされた時代のものであって、必ずしも朱熹自身の問題意識を反映していないことにも注意すべきである。本書ではこの件も随所に論じた。……筆者は今までそれなりの数の朱熹についての論文を書いてきた。……本書はこれらを解体し再構成し、さらに新たにかなりの部分を補筆して成った。内容的には既発表の論文がもとになっているとはいえ、実際には書き下ろしといってよいものである。単なる論文集ではないつもりなので、関心を持って下さった読者は、通読のうえ筆者が描いた朱熹の思想体系を吟味していただければ幸いである。
本書は、朱熹の思想体系全般の論述を試みたものである。…朱熹の理論構築を検討する時に必要なのは、朱熹が自己の主張の説得力をどこに持たせようとしたかを考えることである。時には論理そのものの力により、時には経書の権威を借り、時には当時の通念に頼る。また朱熹の表現のしかたも問題になる。「Aは即ちB」と書いてあっても、文字通りAとBが合同であるという意味から、Aの一部がB、逆にAの一部がB、という意味まで多様である。ただこれらのことを妥協とのみ見なすのは、我々の驕りである。我々とても時に朱熹以上に理論以外の要素を自己の論述に紛れ込ませているではないか。むしろ考えるべきなのは、自他を納得させるには、我々が雑多な夾雑物と見える要素が必要だったということであり、我々はそのような形を取る思想表現の姿というものを正確に把握しなければならないことである。このような要素をも確実に掬い上げてこそ朱熹の思想研究は充実したものになるはずである。
朱熹の思想体系を描くには、彼の膨大な文献から、学説の柱として重ねて強調されている諸主張を摘出し、それらの相互関係を解明することが有効であろう。わずかの例に固執し、それにはずれる他の多くの論述を無理に否定するような試みに紙数を割くことは徒労である。また片言隻語から「哲学的に」引伸し、朱熹があずかり知らぬ地平にまで行ってしまうのも同様である。更に後に「字義」の類が流布した影響もあろうが、理、気、性、惰、という語に過度にこだわるため、朱熹がそれらを駆使して表現したかった当のものを逃すことも往々にして見受けられる。朱熹はこれらの語を規定するために思想を組み立てたのではなく、これらの語の組み合わせから思想を浮かび上がらせようとしたのであり、それこそを把握しなければならない。朱熹は、性や心は言葉では説明しきれないということを明言することがある。その意味は重い。
また朱熹が駆使する用語は、以前から使用されてきた伝統的なものが中心であるがゆえに、往々にして複数の意味が含み込まれていて、その用語が他のいかなる用語との対比されるかで意味の力点が変化する場合も少なからずある。それゆえ各用語は常にどのような状況で使用されているかを考慮しながらその意味摑まねばならず、具体的作業は本書の随処に行っている。
ともかくも朱熹思想の研究は、資料全体からその骨格を把握し、それで各用例をどこまで説明できるかを検証し、またそこから先に把握した骨格の妥当性を検証するといったフィードバックを繰り返さなければならないのである。
更に朱熹の思想を扱う場合には、一つ大きな問題がある。それはこの思想が聖人を目指して修養する人間にとって意味を持つ思想であることである。たとえば朱熹が湖南学から脱却し一応の定説を四十歳で確立したのは、湖南学の説く已発中心の修養を実修していてその効果に疑問を持ったということが大きかった。もちろんそれに対する理論付けも行っているのだが、実修体験がなくてはその理論の持つ説得力も半減する。このような体得を前提とした思想をどのように扱うのかという問題もつきまとってくる。また後世の朱子学の問題設定は、あくまでもそれがなされた時代のものであって、必ずしも朱熹自身の問題意識を反映していないことにも注意すべきである。本書ではこの件も随所に論じた。……筆者は今までそれなりの数の朱熹についての論文を書いてきた。……本書はこれらを解体し再構成し、さらに新たにかなりの部分を補筆して成った。内容的には既発表の論文がもとになっているとはいえ、実際には書き下ろしといってよいものである。単なる論文集ではないつもりなので、関心を持って下さった読者は、通読のうえ筆者が描いた朱熹の思想体系を吟味していただければ幸いである。
慎独与诚意 豆瓣
Vigilance in Solitude and Sincerity of Will a Study on the Philosophical Thought of Liu Jishan
作者:
高海波
出版社:
生活·读书·新知 三联书店
2016
- 10
刘宗周(蕺山)是明末理学的殿军,在明代理学史上具有重要的地位。研究刘宗周不仅对理解理学在明代的发展、变化、终结有重要性,而且对认识阳明学后期发展与明代社会思想文化的关系及其演化,及明末士大夫对此一关系的反省有典型意义。
高海波博士对前人遗留的蕺山哲学思想问题有公允且有说服力的论辩,尤其将“慎独”思想分为前后两个阶段,将蕺山思想所关联的明末诸学术问题凸现出来,重新评估了蕺山在纠正阳明学的流弊,重建道德规范,会通朱子学与阳明学诸问题上所做的努力。整个著作无论在资料上还是在分析上,都达到了比较高的学术水平。
高海波博士对前人遗留的蕺山哲学思想问题有公允且有说服力的论辩,尤其将“慎独”思想分为前后两个阶段,将蕺山思想所关联的明末诸学术问题凸现出来,重新评估了蕺山在纠正阳明学的流弊,重建道德规范,会通朱子学与阳明学诸问题上所做的努力。整个著作无论在资料上还是在分析上,都达到了比较高的学术水平。
朱子哲学研究 豆瓣
作者:
陈来
出版社:
生活·读书·新知三联书店
2010
朱子哲学是中国哲学史上最庞大的哲学体系之一,考察这一哲学的整体结构及其具体内容必须注意:一方面,整个朱子哲学和它的重要部分都不是一次形成的静止结构,而是有其自身提出、形成并经历复杂演变的动态体系;另一方面,组成这一学说总体的命题大都不是意义单一的命题,朱子哲学中的哲学命题和他对许多问题的讨论在内容上大都具有多方面、多层次的不同含义。这两方面造成了朱子哲学的复杂性。因而,本书注重从时(历史演变)空(层次角度)的不同方面对朱子的理气论、心性论、格物致知论的主要内容进行综合考察和全面分析,以求达到对这一庞大而又复杂的哲学体系的具体把握。
中西哲学之会通十四讲 豆瓣
作者:
牟宗三 著 罗义俊 编
出版社:
上海古籍出版社
2007
- 7
《中西哲学之会通十四讲》中举凡从古希腊到西方近现代哲学都有论及且每有高见,并与中国哲学儒、佛、道诸家相比观,究明分际 与会通处。本书附录有新儒家研究专家罗义俊教授特为本书撰写的导读文,亦可资诸进一步认识牟宗三先生哲学思想和他的著作。
朱子哲学研究 豆瓣
作者:
陈来
出版社:
华东师范大学出版社
2000
- 9
《朱子哲学研究》主要内容:朱子哲学是中国哲学史上最庞大的哲学体系之一,考察这一哲学的整体结构及其具体内容必须注意:一方面,整个朱子哲学和它的重要部分都不是一次形成的静止结构,而是有其自身提出、形成并经历复杂演变的动态体系。另一方面,组成这一学说总体的命题大都不是意义单一的命题,朱子哲学中的哲学命题和他对许多问题的讨论在内容上大都具有多方面、多层次的不同含义。这两方面造成了朱子哲学的复杂性。因而,《朱子哲学研究》注重从时(历史演变)空(层次角度)的不同方面对朱子的理气论、心性论、格物致知论的主要内容进行综合考察和全面分析,以求达到对这一庞大而复杂的哲学体系的具体把握。