和菓子付きライヴ{茶会}でも話題の矢野真紀。『この世界に生きて』から4ヵ月という短期間でリリースするミニ・アルバム。フォーク風の曲など、バラエティ豊かな5曲を力強い歌声で。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
誤解を恐れずに言うならば。中島みゆきの後継者がいるとしたら、矢野真紀しかいないと思うのだ。感情がほとばしるような歌声と赤裸々に気持ちを綴った歌詞は、むしろ鬼束ちひろと共通するものがあるかもしれない。サウンド面だって、中島みゆきのそれとはかけ離れている。けれど、今作での(1)や(2)は、喩えるなら私にとって21世紀版の「わかれうた」であり「ひとり上手」なのである。わずか4ヵ月のインターバルでリリースされる本盤は、5つの恋と人生が濃縮された5枚目のアルバムだ。前作『この世界に生きて』と同じく、プロデュースは寺岡呼人。共同プロデューサーの藤井謙二とともに、実に丁寧なアレンジを施している。前作のカーテン・コールとも解釈できるが、芯の強いロックでありながらアコースティックの音色を大切にした本盤は、シンガー・ソングライター&ヴォーカリストとしての彼女の才能と実力を存分に味わえる仕上がりになった。まさに“うたうたい”の名にふさわしい秀作である。 (岩田祐未子) --- 2003年04月号