「タクミくん」はBLには欠かせない全寮制男子校が舞台。アメリカ育ちの才色兼備な崎義一とマイペースで天然ボケが可愛い葉山託生が主人公です。
この物語はギイ&タクミのみならず周囲の生徒たちが織り成す事件やラブストーリーが沢山詰まった小説で、かなり長い年月にわたり出版されています。
ところが、長期連載にも関わらずキャラは現在高校2年から3年になったところ。3年になってからは三洲(女王タイプ)と真行寺(忠犬タイプ)という年下攻めカップルも目立ち、物語に刺激が加わり面白くなっています。
アメリカ生まれのギイが何故「義一」という昭和初期チックな名前なのかということはさておき、何時何処でタクミを見初めたのかというエピソードが17冊読んでも曖昧で、最終回で明かされると予想していますが、なんせ1年1冊の出版・・その上非常にホモ率高い学内ゆえに色んなカップルのお話が発生し・・・永久に続きそうな物語です。
ごとうさんの文章は簡潔でオーバーな表現が少なくHも品よく控えめです。が、そのわりに決め台詞とラブラブ場面はしっかり押さえてあるため、かなり心地よいドキドキを味わうことができます。
全体的にほんわかした独特の雰囲気ですが、冷静に考えるとキャラがけっこう過激な発言や事件に巻き込まれていて(例えばタクミは兄に性的虐待を受けていたとか・・)、ところがそれが重たくならない不思議な文体なため、心のお疲れ時には調度よい小説です。
挿絵はおおや和美さんがずっと手がけており、最近ではコミックも数冊出ています。繊細で可愛らしい絵柄がとにかくお話の雰囲気に合っていて、これ以上ないというコンビネーションです。
「タクミくんシリーズ」はドラマCDもかなり沢山出ています。
ギイは井上和彦さん。タクミは鳥海勝美さんと保志総一郎さんが担当しています。
ギイは王子様キャラなので井上さんの年齢を気にしなければ(笑)落ち着いた2枚目声でバッチリです。
タクミも合っていますが、私的には保志さんの方が好みでした(保志さん声は別物で聞きなれてるせいもありますが・・)。
小説の内容と同様に品のよい仕上がりで、たまには喘ぎ声の無いCDもイイもんだと実感できます。